「ラストキング・オブ・スコットランド」を観ました

 映画「ラストキング・オブ・スコットランド」を観ました。主演のフォレスト・ウィッテカーが、アカデミー賞の主演男優賞を受賞した、ウガンダのアミン元大統領の狂気を素材にしたサスペンス映画です。

 スコットランドで医師免許を取得した青年ニコラスが、軽い気持ちでアフリカ・ウガンダの奥地の診療所に赴任する。医師としての使命感を持ってというより、未知の経験をしたい、冒険をしたいという気持ちの方が強い、まだ大人になりきっていない軽佻浮薄な雰囲気を漂わせています。

 その彼が、ふとしたきっかけでアミンの怪我を治療した事から、アミンに気に入られ主治医になり、ただの医者から、政策のアドヴァイザー的な事までするようになる。何の社会的経験も積んでいない一介の青年なのに。。

 はじめはアミンの陽気であけっぴろげな人間性に惹かれて、アミンにのめり込んでいくニコラスだが、徐々にアミンの狂気に振り回されだし、そしてアミンの囚われの身となった自分に気がつく。

 なかなか恐ろしい映画ですが、権力者の狂気の恐ろしさもさることながら、悪意がないまでも考えなしに行動する事の怖さも、描かれていたと思います。そして貧しく遅れた国や人々を見下すような姿勢のばからしさも。

 貧困と無知、繰り返される虐殺、あれほどの資源を持ちながら未だに貧しいままでいるアフリカの悲劇。でもこの作品は、そういうアフリカ特有の問題というよりも、もっと普遍性のある「人間」を描いた作品なんだろうと思います。
 笑ってみるような映画では有りませんが、見る価値のある映画だと思います。

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