SF大作「オリュンポス」を読みました。

 ダン・シモンズ(Dan Simmons)の「オリュンポス(OLYMPOS)」を読みました。

 ギリシア神話を下敷きにしたSF大作「イリアム」の続編です。

 前作「イリアム」では、ホメーロスの「イーリアス」を模したような世界で繰り広げられるトロイア戦争と、木星の衛星に住む半生物機械モラヴェックが火星近辺での量子活動異常を調査すべく向かう話と、100歳までの不死性を獲得したものの退廃してしまった人類が地球で生きていくさまを描いて、それがおのおの別の展開で進んでいました。

 この「オリュンポス」では、それらの複数の物語がついに交差していきます。ギリシア神話とSFを融合させた雄大な世界が展開していく中で、それぞれ関連性が薄かった話が絡み合い、今まで謎に包まれていたものが徐々に明らかになっていきます。
 
 結構複雑な物語を巧みな語り口で進めていくのは、流石にダン・シモンズだなという感じです。
 
 正直言ってわけの分からないところも沢山有りますが、こういうヨタ話をそれなりの物語に変換してしまうのがまたSFの魅力ですよね。
 この作品ではギリシア神話のみならず、シェークスピアやプルーストなんかが多く語られ、こういう娯楽作でも、英米文学を理解するのにはそういう知識が有った方が楽しめるんだなぁと改めて思いました。
 
 ダン・シモンズが「ハイペリオン」「エンディミオン」で描いた未来世界とは又違う、とても楽しめるSF娯楽巨編でした。

 一応はこれで完結編というものの、まだ謎の多くが解明されていず、何となく続編が出そうな雰囲気が有りますから、ちょっと楽しみですね。

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