「今日、ホームレスになった」を読みました

 増田明利「今日、ホームレスになった  13のサラリーマン転落人生」を読みました。タイトル通りのノンフィクションです。

 今やホームレスの40%は元サラリーマンなんだそうです。

 正直ホームレスと格差社会を短絡的に結びつけるのはどうなのかな?という気がしないでも有りませんが、この作品はそういう風に無理に話を持っていくというよりは、ホームレスの人に聞いた内容を淡々と綴っています。政治的な意図が感じられない分、身につまされる気がします。

 1章では、エリートビジネスマンの暗転と題して、元大手総合商社マンや外資系投資銀行のファンドマネージャーなどの転落人生を描いていますが、どなたもエライ高額の収入を得ていた人ばかりで、そういう人たちが不運にもホームレスになってしまったのは、分かったような分からないような。

 でも少なくとも、この人たちと格差社会には大した繋がりは感じませんね。

 2章で、漂流するホワイトカラーと題して、元中堅住宅メーカー営業所長や中堅都市銀行マンが登場しますが、こちらはちょっと気の毒な感じがします。

 3章は、社長失格と題して脱サラして起業したのに失敗した人や、バブルに浮かれて破産した経営者などの話で、4章は明日なき若者たちと題してサラ金苦の青年やリストラされた青年などが出てきます。

 正直言えば、サラ金に借りたらいつの間にかそれが雪だるま式に増えてといった内容だと、あまり同情する気もなくなりますよね。

 それに一時はウン千万もの年収が有ったにもかかわらず、会社が傾きかけた途端に高額の割り増し退職金を貰って会社を辞めたものの、気が付いたらいつの間にやらホームレスという方も、もっと計画的に生活設計出来なかったの?と思ってしまう。

 結局生き方がどこかバブルの時代の生き方のようで、あまりに考えが足りないような感じを受けます。

 一方、長い間一所懸命に真面目に働いてきて、妻子を養ってきたのに、会社が倒産するとかリストラに遭うとかして、職探しをしたにもかかわらず見つからず、失業保険は切れて蓄えも使い果たし、妻子との間もおかしくなっていつの間にかホームレスというような方には、深い同情を感じる。

 ここに登場する方々は私と大して歳も違わない人が殆どだし、会社を離れた(離された)中高年サラリーマンはしんどいなぁと改めて感じます。彼らと私の違いなんて、ホント運が良かったか悪かったかだけなんでしょうね。

 私も今は家族との仲に問題はありませんが、仮に私が失業して働けずに家でブラブラしているとしたら、その時に家族の視線はどんな感じになるのか、私がそれをどう受け止めるのか。。。

 誰か支えになってくれる人が居るのかどうかで、人生は大きく変わるのですね。

 ともかく色々な事を考えさせてくれる作品でしたね。

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