映画「みかへりの塔」

 小津安二郎、溝口健二が「天才」だと言った清水宏監督の1941年の作品「みかへりの塔」をDVDで観ました。

 特殊な児童を収容する救護施設を舞台にした社会派ドラマです。

 200名以上の少年少女が、家庭と名づけられた建物で保母さんをお母さんと呼び、教師をお父さんと呼んで、10数名づつに別れて集団生活を送っている。

 その中で盗癖や怠け癖、けんかをしたり嘘をつく癖などが改善したら退院する事が出来る。そんな施設の中で生まれるさまざまな子供たちや教師たちの葛藤を描いた作品。

 どことなく集団生活の有様が、今の北朝鮮を連想させるのは仕方がないか・・・。

 でも問題児が集まっているのに、子供達が活発で生き生きしているのは、北朝鮮のように逃げ場のない抑圧にさらされているのとは少し違って、両親の代わりに子供達を躾けている教師達が、真摯に子供と向き合っているからなんだろうと思えます。

 今じゃこんなに礼儀正しい子供達は、見かけることはないですね。

 まだ貧しかった時代、戦争にひた走る暗い世相だったろうと思いますけど、そういう中でも理想を追い求める人たちがいたというのは素晴らしい事です。



清水宏監督作品「みかへりの塔」

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