映画「山桜」

 藤沢周平の短編小説をもとに映画化した篠原哲雄監督作品「山桜」をDVDで観ました。

 藤沢周平作品に多く登場する北国の海坂藩を舞台にして、嫁ぎ先の家風に馴染めずにつらい日を送る野江(田中麗奈)と、かつて野江に縁談を申し込んだものの母一人子一人と言う事もあって断られた手塚弥一郎(東山紀之)との縁を描いて、一人の武家の女性が失意を乗り越えて幸せを見出すまでの物語が素晴らしい。

 蝉しぐれなど映画化された藤沢周平作品を幾つか観ましたけど、この作品が一番藤沢周平の世界を描いているように思いました。

 映像がとても美しくて、古い日本の城下町がそれらしく描かれて、しみじみと良かったですね。

 そしてセリフがとても少ないのが又この寡黙な作品に合っていました。

 ただ一つ惜しかったのが、エンディング近くになって流れてくる挿入歌。

 あれだけはいただけない。気分が大分削がれてしまいます。それ以外はとても良かった。



藤沢周平の世界を描いた映画「山桜」

コメント