映画「愛情物語」

 実在のピアニスト、エディ・デューチンの生涯を描いた1956年の映画「愛情物語」をDVDで観ました。

 ピアニストとして身をたてるべく、セントラル・パーク・カジノのオーケストラの指揮者ライスマンを訪ねて地方からニューヨークに出てきた若者エディ・デューチン(タイロン・パワー)だが、その才能は認められながらも直ぐにでも雇ってもらえると言う期待は外れてしまう。

 気落ちしたエディは目に留まったグランド・ピアノの前に座り、ショパンのノクターンを弾きだす。

 たまたまその夜のパーティの準備に来ていた資産家の姪マージョリー・オルリックス(キム・ノヴァク)がその音色を聴き、エディに同情して、オーケストラ演奏の合間にピアノを弾けるようライスマンにとりなしてくれる。

 このことがきっかけとなって、エディはピアニストとして名を成して行き、エディとマージョリーは親しくなり、そしていつしか二人は恋に落ちて結婚、子供までもうけるのだが、一人息子の出産と同時にマージョリーは帰らぬ人となる。

 心から愛したマージョリーを亡くし失意に沈むエディは、生まれたばかりの子供ピーターをニューヨークに残したまま、南米に旅立つ。


 この作品、久しぶりに観ましたが心を打たれました。

 ベニー・グッドマン物語やグレン・ミラー物語のような実在のミュージシャンを主人公にした伝記音楽映画は他にも有りますが、原題のエディ・デューチン物語を愛情物語と邦訳した映画関係者のセンスが、作品の内容を上手に表していて素敵です。

 深く愛し合った妻マージョリーとの関係だけでなく、ギクシャクする息子ピーターとの関係。ピーターの子守役のような女性チキータとの関係など、なかなか上手に描かれているように思います。

 セクシー女優のキム・ノヴァクの表情も良いですねぇ。上流階級のパーティに客として招かれたと思ったのに、演奏家として呼ばれたと分かって気落ちしたエディの隣に座った令嬢のマージョリーが「私がついているわ、ご不満?」という場面が私は好きです。

 カーメン・キャバレロが演奏するショパンのノクターンを基にしたトゥ・ラヴ・アゲインも効果的に使われていて、こういう恋愛映画も良いものですね。

 昔この作品を観た頃は、私自身若くてこういう映画の良さが今ひとつピンと来なかったけど、歳をかさねると少しは成長するんですね。




タイロン・パワーとキム・ノヴァク主演の名作「愛情物語」

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