2010年5月22日土曜日

映画「ハート・ロッカー」

 第82回アカデミー賞作品賞・監督賞を受賞した映画「ハート・ロッカー」を観ました。

 イラクでの爆発物処理に従事するアメリカ軍兵士の日常を描いた作品です。

 戦争映画、というのとも少し違うように思います。

 戦争の悲惨さ、非人間性、惨めな兵士、虐殺、恐怖、またはそれに対峙するような崇高なもの、そういったものはこの作品では重要視されていない。

 この作品の主人公たちは、ただ市内の爆発が仕掛けらた場所に出向いて、爆弾を解除したり周囲の人間を避難させたあとで爆発処理を行う。

 テロが蔓延し、銃声が聞こえ、死が日常的に存在し、周囲が敵意を発している環境の中で、死の恐怖に怯えながらも危険な作業を淡々とこなす兵士たち。

 そういう描写が実にリアリティを感じさせる。

 こういう視点で描かれる作品は、えてして政治的なメッセージを感じさせたりするものだけど、この作品はそういう事を声高に叫んでいたりはしない。


 すべての場面が緊迫感を感じさせるので、正直言って観ていて疲れてしまった。

 心踊る映画でも笑える映画でも感動して涙を流す映画でもないと思う。ハッキリ言えば地味な作品だと思う。

 アカデミー賞を取らなければ、そんなに観る人も居ない作品だと思う。

 戦争は麻薬だと映画の冒頭でテロップが出るけど、毎日仲間の誰かが死んでいくような悲惨な日常の中で、自ら戦場で生きる道を選んだ主人公の姿が、人間の複雑な業のようなものを感じさせてくれる。

 おそらくそういう事を意図した作品なんでしょうね。


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