映画「フェア・ゲーム」

映画「フェア・ゲーム」を観ました。

 CIAエージェントのヴァレリー・プレイム(ナオミ・ワッツ)は、アフリカのニジェールから大量のウランがイラクのフセイン大統領の元に送られたという報告の真偽を確かめるために、夫で元ニジェール大使のジョー(ショーン・ペン)をニジェールに派遣することをCIA上層部に提案し、CIAの要請でジョーがニジェールに調査に出向く。

 ジョーが調べた範囲では、そうした事実は一切発見されず、彼はその通りの報告を上げる。

 しかし米国政府が発表したイラクに大量破壊兵器が存在する証拠の1つとして、アフリカから大量のウランがイラクに運び込まれた事があげられると、ジョーは事実とは違うとマスコミに告発し、その発言をもみ消すために米国政府の要人はジョーの妻がCIA職員である事をマスコミにリークする。


 実話に基づいた社会派サスペンスです。

 夫が妻を利用した、または妻が夫を利用した、夫婦で私欲のためアメリカ政府を利用している等の悪評を振りまくことで、ジョーの発言の信憑性に疑問を投げかけ、ひいてはイラク侵攻の判断ミスを誤魔化そうとするアメリカ政府と、それに対して孤軍奮闘するジョー。ジョーがマスコミに発表したことにより隠していた自分の身分を公表され、それでも沈黙を守り続ける事でジョーとの夫婦仲もおかしくなっていくヴァレリー。

 最初はとりとめのない場面から始まるので、ピンと来なかった作品ですけど、物語が進行するにつけ迫力が出てきます。

 巨大な権力に挑む個人というスタイルはアメリカ人が好みそうです。ジョーに対してまるでアメリカ人の敵というような扱いをする人たちもいれば、草の根の人たちがジョーを精神的に支援していたりする。そういうところが一方的に流れがちな日本とは違う多様性がある社会なのかも知れないと思います。

 思った以上に面白い作品でした。



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