どん底

文豪ゴーリキーの戯曲を舞台をフランスに移して描いたジャン・ルノワール監督の映画「どん底」をDVDで観ました。この作品は以前TVで観ました。また観るのは20年ぶりくらいですね。

社会の底辺で生きている人々が暮らす場末の木賃宿。ここに住む泥棒のペペル(ジャン・ギャバン)は宿の主人で吝嗇の老人コスツィリョフの若い女房ワシリーサ(シュジ・プリム)と愛人関係にあるが、実はワシリーサの妹で気持ちの優しいナターシャ(ジュニー・アストル)の事を愛している。ワシリーサと別かれてナターシャと一緒になりたいペペルは、ある夜貴族の屋敷に忍び込む。

しかしその屋敷の主の男爵(ルイ・ジューヴェ)は賭け事で負け続け、屋敷も何もかも抵当にとられ、自殺するしかないと考えていた。

屋敷で出会った泥棒と男爵だったが何故か話が合い、男爵はペペルが住む木賃宿で暮らすことを決める。



人生に絶望しながら、しかし生きていかざるを得ない貧しい人々。生まれながらの泥棒ペペル、しかし泥棒しか知らないから泥棒なんで、本当は真っ当な暮らしをしたいと願うペペル。彼女がいれば普通の生活が出来るとペペルが思うナターシャは、姉夫婦が買収したい警察官に押し付けようとしている。

救いようのない生活の中で暮らす市井の人々を描き、しかもどん底で暮らす人々を描きながらどこか暖かい雰囲気を漂わす名作です。

何と言っても乞食貴族を演じるルイ・ジューヴェが素晴らしいですね。家柄に恵まれている本当の貴族なのに、人生を達観して社会の最下層の生活に甘んじ、しかもどことなく気品を失わない彼を見ていると、人間なんとかなるものさと思えてきます。

ラストシーンも洒落ていて、やっぱり名作映画は色褪せませんね。とても良かった。



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