ノア 約束の舟

 映画「ノア 約束の舟」を観ました。

 旧約聖書の創世記に登場するノアの方舟の物語を映画化した作品です。

 人間の悪しき行いに業を煮やした神が、善良な人物ノア(ラッセル・クロウ)に大洪水が起こることを夢の中で告げる。妻(ジェニファー・コネリー)と3人の息子、そして養女となった娘(エマ・ワトソン)と共に巨大な方舟を作り、地上の全ての種類の動物のつがいをその船に乗せて新しい世界を創ろうとするノアの苦悩の物語。

 作品を観る前には、大洪水とそれを乗り越えていく一家を描いたスペクタル巨篇なんだろうと思っていましたが、微妙に思っていた映画とは違っていました。もう少し宗教を意識したというか哲学的な印象を受けました。もちろん聖書が元になっていますから宗教的なのは当然ですけど、神の存在に不満を示す人間の王と堕落した兵士たち、虐げられる人々、自分の家族以外の人間を神の意志という名目のもと切り捨てる善良なノアの苦悩などが描かれていて、勧善懲悪・単純明快なハリウッド映画とは少し違います。

 エンターティメントでありながら、家族の物語であり人間の物語であり、神と人間との物語であったりします。

 ここまで来ると、聖書に対する教養を持たない私にはピンと来ないというか馴染めない感じがして、そしてノアの苦悩は苦悩としてもノアが狂信者に見えてきて、ストレートに楽しめる作品とは言いがたい感じ。

 宗教的なんだろうけど、愛と赦しがあまり感じられない非情な神と、その神を盲目的に信仰するノアという風に思えて、出演者は熱演していましたが、私が日本人だからなのか今ひとつ波長が合わない作品でした。




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