メディチ家の至宝展

 白金の東京都庭園美術館に「メディチ家の至宝展」を観に行きました。

 商家から始まり、銀行家として莫大な財を成し、イタリア・フィレンツェの実質的な支配者として君臨し、ミケランジェロやレオナルド・ダ・ヴィンチなど芸術家たちの強力な擁護者であるとともに、権謀術数が渦巻くフィレンツェとヨーロッパで300年に渡って繁栄したメディチ家の、一族の肖像画やジュエリーなどを展示した展覧会で、会場となる庭園美術館が朝香宮の邸宅だったこともあって、展覧会のテーマと会場がマッチしたユニークな展覧会でした。

 メディチ家は歴史教科書にも書かれているし、名前くらいは聞いたことがある方が多いと思いますが、私などは敵対者を毒殺した暗い歴史のイメージが強くて、中世暗黒時代の印象を持ってしまうのですが、こうして展覧会を観て説明文などを読むと、歴代の当主には野心的な人物もいれば、芸術には興味があるけど政治にはあまり興味が無い人物もいて、何となく思い描いていたものとは違った感じです。

 それに長命な人が少なくて、病気だったり暗殺されたりで、あまり幸せな一族という感じがしません。

 それでもメディチ家最後の当主となったアンナ・マリア・ルイーザが「メディチ家のコレクションがフィレンツェにとどまり、一般に公開されること」を条件に、すべての美術品をトスカーナ政府に寄贈したという逸話を読むと、芸術とフィレンツェの庇護者としての役割を最後まで全うしたのだなと、改めて感じ入りました。

 展覧会の展示品はカメオなどを使い、精密な細工が施された装飾品が多くて、なかなか見応えがあったと思います。





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